タイトル

17年前に家守としての私の思いを綴った「家づくりで失敗する人をなくそう」⑤

17年前に家守としての私の思いを綴った「家づくりで失敗する人をなくそう」⑤

Ⅱいい家にいたる思い

なぜ住宅と関わるようになったのか

ここで私と住宅との関わりについてお話しておきます。祖父、父、私の共通点が3代共に住宅に関わっていることです。祖父は大工で私がもの心のつくまえに他界したため祖父の記憶は私にはありません。聞くところによると「大酒飲みでしたが、仕事の腕が良かった」そうです。父は祖父について大工の修行をしていましたが、建築士の資格をとり設計事務所として工務店を創業してから、施主から頼まれて施工を手掛けるようになりました。私は自然とこの仕事に就き建設会社を経て父の工務店で一緒に働くようになってから個人住宅と関わり,依頼たくさんの住宅を設計施工してきました。家づくりはとても責任の重い仕事ですが、家が完成した時のご家族の喜びあふれる笑顔で苦労が報われます。点検の訪問時に「快適に暮らしてますよ」と言われたときは、この仕事について本当に良かったと思います。

北米シアトルで見た家に衝撃

32歳の時に輸入住宅の事業化を検討している取引先の製材組合に便乗して、シアトルに住宅視察に出掛けました。シアトルでは商社のニチメン(現在の双日)のI氏とPH&D(輸入住宅販売会社)のT氏の案内でベルビューという地区の分譲住宅を訪ねました。この地域のダグラスファーという橋梁にも使われている木材を使い頑丈な骨組みの家です。2重になった木製サッシと分厚いグラスウール断熱材が埋め込まれていました。冬の寒さが厳しいシアトルですが、全館暖房という部屋間の温度差が少ないつくりになっていました。日本の住宅の部屋ごとにする個別暖房しか知らない私にとって、こちらの住宅の全館暖房でプライベート空間をのぞいてドアもあまりない開放的な空間は衝撃でした。「この家を買ったは人は強度と断熱性能とが良いので快適に長く住める」「家が長く住めると居住するコストが下がります」というI氏とT氏の説明に納得です。つまり家で家族が健康に長く暮らすためには、家も健康に長生きしなくてはいけない、短命は許されないのです。

家の寿命を延ばす

シアトルで性能の高い家づくりを見たことで、「長く暮らせる家づくりをにしたい」と思うようになりました。例えば30年間のローンを組んだ家に60年間住めれば、各世代で家を建て替える必要はなく子供にローンの重圧もかかりません。家の手入れに資金を使うくらいで「親子3代住み続けられる家」となります。また子供が離れて夫婦二人の暮らしになっても性能が良ければ快適な暮らしは変わらずに、老後の大きな住宅用の資金を用意しなくて済みます。世界保健機関(WHO)は安全・健康・能率・快適性の4つを家に求めていますし、健康になる住環境への要望が確実に高まっていくことでしょう。具体的には建物の耐震性や耐風性の構造強度と断熱性・気密性・換気性能を高めることが大事だとわかりました。 いい家を考えてみるに続く