タイトル

17年前に家守としての私の思いを綴った「家づくりで失敗する人をなくそう」②

17年前に家守としての私の思いを綴った「家づくりで失敗する人をなくそう」②

Ⅰいい家を考える

「我が家」を大切に思う気持ち

昭和初期より雑貨商を営んできたMさんが、家を建て替えるために長く暮らしてきた住まいを壊します。この家を建てた今は亡き曾祖父さんは太平洋戦争中、町内の空襲による火災の消火活動に消防団の団長として奔走して、年輩の人たちから「自分の家が燃えているのに、他人の家の火消しを懸命にした」と尊敬された人でした。その曾祖父さんが戦後まもなく建てた家。増築を繰り返しながら、今の形になりました。一番古いところでは半世紀を過ぎ、瓦葺の屋根、土壁に羽目板張りという古来のつくりです。このところ手入れもあまりされておらず、老朽化と暮らしにくさもあって、お父さん(曾祖父さんの孫)は親子4世代暮らした家の建て替えを決めました。そして私のところにお話を頂き、「長く暮らせる家にしてほしい」とのご要望から準備を進めてきました。

これまでの思い出の品々もたくさん残されていたので、ひと月掛けて整理され、ただ「もったいないから」と新居に生かしたい大黒柱、床柱、屋号入りの樋受けは外して保管しました。解体がはじまり瓦が取り払われ屋根から崩されていきます。お祖父さんは「あんなボロ屋でも今日でお別れかと思うと寂しいですね、長い間、世話になったなぁー」と言っていました。その後の地鎮祭で台所、浴室、トイレ、井戸、庭木のあったところにお清めをする姿を見て、旧屋に対する感謝の気持ちが私にも伝わり親子代々暮らしてきた「我が家」への思いの深さを改めて感じさせられました。50年の家の寿命は長い方ではないかもしれませんが、最後まで住みきったということでMさんご家族は満足されていたと思います。

家は傷む、建築材料の老朽化のしくみ

家は古くなったり、老朽化(家がボロくなった)したり、家の寿命に関係なく「住みにくくなった」という理由で壊され、建て替えられます。建築材料の老朽化は、解体した住宅を見るとよくわかります。木造の場合、骨組みに使われる木材は表面の色が灼けて濃茶になっていても内側は白い木肌のまま、木の香りもして元気です。傷みやすい箇所は土台、外壁、水回りなど湿気と関わりのある場所で雨漏り、換気不良、水漏れ、結露、シロアリなどにより腐朽します。また、鉄骨造の場合、は鉄骨に水と空気の結合による錆が発生し次第に錆が広がる形で老朽化が進行します。鉄筋コンクリートの場合は、表面の微小な割れ目からしみこむ水と大気中の酸化物でアルカリ性のコンクリートが中和し、酸に弱い内部の鉄筋とともに老朽化していきます。木も鉄骨も鉄筋コンクリートも湿った状態に置かないようにすることが重要です。

これでおわかりのように、住宅の老朽化を促進する最大の敵は「湿気」。その対策を十分に行う必要があり、工法の選択、設計、施工を行う専門家とメンテナンスを担う住まい手の長期にわたる連携が欠かせません。住宅の耐久性は最重要の課題です、同じ費用をかけるならできる限り長く、快適に暮らせる住宅にしたいと思うのは皆さん同じです。 ごみ対策として長寿命の家は必要に続く